Clothing

ジュエリーとシューズの作り手が十数名、各々のエプロンを身に着け日々作業に明け暮れている。役割りの違いで見て取れる汚れ方や破れ方、白は色褪せ、濃いインディゴは蒼色へ。それらはまるで仕事を映し出した作品かのように思える。私たちのものづくりの原点はフランスにある。ある日、素材探しのためパリ郊外を歩いていると、とても旧い時代に織られたのがひと目でわかる高貴な麻の反物に出逢った。寂れた画材屋では絵描きが着てそうなスモックが吊るされていた。底冷えのする地下の倉庫では埃を噴き飛ばしながら一箱ずつ宝箱を開けて古いボタンを選んだ。そうだアトリエのみんなの作業着を作ろう。これが3番目のアトリエの始まりだった。

アトリエラインとして始まったシリーズは時代遅れのスローな力織機で織られる綿の生地を使用している。膨らみのある独特の風合いは昔からワークウェアの生地として親しまれてきたと聞く。それをどこか懐かしい1940年代~70年代のフランスの作業着や正装をモチーフにしたラインナップにのせた。年2回発表されるコレクションラインは、ヨーロッパを中心に様々な国の機屋の生地を選び、少しずつオリジナルの生地も増え、現在はデザイン、パターンに至るまで同じくアトリエで完結する。また、国内外の多品種にわたる工場や作家との協業で、縫製、刺繍、傘、木工、竹細工など、私たちだけでは成し得なかった頭の先からつま先までのアイテムが少しずつ生まれている。